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2017-08

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モーニング娘。「女が目立ってなぜイケナイ」レビュー

ああそう言えば、きちんとモーニングの新曲を聴いていなかったな、と気付き、マイミクさんの日記から飛んで、YOU TUBEでじっくり聴いてみた。

そう、かつてあれ程恋焦がれたモーニング娘。の新作リリース――初O.A.日を待ち焦がれラジオの前に正座して聴いたり、それでも我慢できず伝手を辿ってサンプル盤を入手し貪るように聴きまくったりした――は、ここ数年、僕にとって「ああそう言えば……」という存在になってしまっている。忘却に蝕まれつつあるぼんやりとした関心。別れた恋人の誕生日のようなものと言えばいいのか。しかし、真野のアルバムは傑作だったし、モーニングの前シングルもまずまずの出来だった。もしかしたら焼けぼっくいに火がつくだろうか? そんな期待をほんの微量だけ込めつつ今回の新曲に臨んだ。

まず最初に感じたのは、全体的にとっ散らかった印象だ。フラメンコとスビズバ・スキャットの残滓が見て取れないことはない。しかしトータルで何をやりたかったのか? 意図が見えにくい。

サウンドを言葉で外面的に綴るとすれば、モーニングの「3、2、1 BREAKIN'OUT!」――中期ビートルズ・サウンドをサンプリング以降の方法論で再解釈した、なかなかの佳作だと思う――からビートリッシュな要素を抜いて、往年のTV番組「カリキュラマシーン」(「ティンティンTOWN!」の原型か?)のオープニング曲(マイミクさんも指摘していたけど、確かに似ている箇所はあるね)を接合した感じ、とでも形容できるだろうか? 

「カリキュラマシーン」においては、スキャットでスピーディーに歌われていたメロディが、ここではシンセとアコギに置き換えられており――随分と忙しいギターの奮闘にもかかわらず――ナンセンスのユーモアから来るグルーヴィーさは失われてしまっている。スピード感ではなく、ただ落ち着かない印象をもたらしているだけだ。そしてその慌てた感覚、座りの悪さはそのままサウンド全体の印象にもなっている。

一方で歌詞も記憶に残らない。ヴァース、コーラス、ブリッジ……どこにもキャッチーさを見出せなかった。

娘。たちのボーカルは魅力的に映える要素を持ち合わせていると思うが、サウンドとリリックスの両面において、この曲で彼女たちの持ち味を生かせているとは言えないように思う。

何かにトライしている感触は伝わってくるが、それが成功しているようには響いてこない。敢闘精神が先走っているという意味では、c/w向きの曲ではないだろうか。少なくともサビやイントロを鼻歌で口ずさみたくなるような気分にはならないのは確かだ。残念ながらマジックは感じない。

時間があれば、Buono! や真野恵里菜――外部スタッフをメインで起用した彼女たちは近年のハロプロにおける音楽的成功例だと思われる――の魅力と比較して書くつもりだが、ここ数年のつんくの作品は言葉にしづらく、非常に閉じた印象を受ける(余談になるが、アイドル・ポップスは言葉で描写しやすいものほど魅力的なものになるではないか? ということを最近考えている)。そうしたつんくの音楽的自閉性がそのまま出てしまった典型的な例だろう。

「ああそう言えば」からの脱却はまだまだ先のことかもしれない。


▲作詞作曲:つんく、編曲:鈴木Daichi秀行


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P.I.L.再結成ライブ Death Disco (Swan Lake)

P.I.L.昨年末の再結成ライブがかっけー。
昨年末「ジョン・ライドン、PIL再結成でまたもや金儲け」なんて記事が出ていて、気になっていたが……

気になるパーソネルは、
ロバート・エドモンズ(G.)
スコット・ファース(b.)
ブルース・スミス(Ds.)
となっている。

やはりギターとベースが気になる。
P.I.L.サウンドのオリジナリティそのものと言っていいキース・レヴィンとジャー・ウォーブルではない。

しかし、アップされた動画を鑑賞すると、エドモンズのギターは、なかなかキース・レヴィンしていて良い。
ソリッドでメタリック。覚醒しつつ空間を切り裂く攻撃性。
しかし、その怜悧で鋭利な刃は自らにも向けられる、危ういそれ。
さらにモノトーンな色合いなら、なお良し。
多少音色出してさばいている箇所があり、そこにエドモンズの凡庸さを感じる。
まぁ、それはそれで愛らしい。

ベースはもう少し太い音でブリブリしてほしいところ。弱い。
ジャー・ウォーブル幻想再燃。
『メタル・ボックス』発売時、ライドンは、雑誌(おそらく『音楽専科 』だったと思う)に
「『メタル・ボックス』は低音が重要なんだ。日本のファンには是非大音量で低音を楽しんでほしい。
日本人の木の家を揺らすほどのね」(大意)とコメントしていた。

ドラムは原曲に忠実ではあるが、やはりところどころブルース・スミスしてる。
オカズで「とっとっとこ」と前のめり・つんのめリズムする箇所など。
どうしてもポップグループ、リプリグを想起してしまう。

そしてボーカル。
ジョン・ライドンの呪詛するようなボーカルは、往年の迫力を感じさせ、率直に言って素晴らしい。
かつてビートたけしのボーカルに似てるなんていう指摘もあったな。
たけしは「よく知らないんだけど」と言っていた。
それは声を腹から出せない素人ボーカルの魅力だ。
腹から出していないので喉で音程音圧を調整する、その際の微妙な非音楽的効果の妙。
訓練を積んでしまったプロなんぞには出せない魔力。
その最高峰ではないかと。

ちなみに、『メタル・ボックス』缶入りアナログ版はリリース直後に購入した。

「ロッキング・オン」の通販部みたいなところで購入した記憶がある。
45回転とはいえ三枚組アルバムなので、輸入盤屋での相場は1万円近くだったと思う。
貧乏高校生にとっては御座なりに出来ない金だ。
そこで各洋楽雑誌に掲載されている輸入番屋での『メタルボックス』の価格を徹底比較したところ、
最も安かったのが「ロッキング・オン」の通販部。
サービスが良かったので(電話応対がよく、また約束の期日よりも前に届いた)、その後、
そこを通して岩谷宏の本なども購入した。

『メタル・ボックス』はまだ書斎にある。
収納が上手く出来ないアイテムなので、どうしても目立つところに置く他はなく。
配置場所は変わったとは言え、書斎の一角から常にこちらの動向を見つめていたのか、30年間……。

それにしても、この音ならこれからもジャンジャン稼いでほしいものだ。
(96年のピストルズ初来日は酷かった……)

『PLASTIC BOX』でも聴いてみるか。





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ロバート・アルトマン監督『ロング・グッバイ』のこと

 レイモンド・チャンドラー『ロング・グッバイ』を再読しつつ、どうしても引っかかっていたことがあった。

 それはなにも文学的なことではなく、件の小説の映画化作品、つまりロバート・アルトマンが監督した『ロング・グッバイ』をかつて見たかどうか思い出せなくなったのだ。映画のシーンが1ミリも思い出せない。集中して記憶を点検してみたが、頭の中には何の手がかりもない。と言うのは昔の友人の中には熱狂的なアルトマン・ファンも何人かいたので、見たと言うか、見せられたはずなのだ。映画館に一緒に行ったり、ビデオを貸してもらったり。さらには仕事の関係でアルトマンを見なければならない時期もあった(結局それは仕事にはならなかったが)。

 だ・か・ら、俺は当時の時点で日本に紹介されたアルトマン作品はほとんど見てるはず。はず、なのだ。状況証拠的には。
 し・か・し、『ロング・グッバイ』はあまりに何も思い出せない。どうしても思い出せない。著名な小説の映画化なのに。
 フィリップ・マーロウって誰が演(や)ったの? 配役はもちろん、ポスターやビデオのイメージも思い出せない。『M★A★S★H』(サントラ買った)や『ポパイ』は覚えてるんだが……。、実は見てないのかも? と訝しがる。

 基本的には打ち捨ててもこれからの人生にまったく影響も与えない些事でしかないのだが、なんとなく気持ち悪くなって検証したくなった。そこでYOUTUBEで『ロング・グッバイ』のトレーラーを探して確認することに。トレーラーはサクっと出てきた。そいつを確認して、やはりかつて見たことを思い出した。覚えているシーンがあったのだ。疑問はアッサリかいけつしてしまった。しかし、特別な感慨もなかったので、かつて見た時に面白くなかったんだろうと思う。

 これは誰にでもあることだろうけど、俺は映画が面白くないと鑑賞集中力が著しく減退し、ほとんどゼロになる。そしてそのゼロさ加減には非常に自信がある。群を抜いているのではないかと思う。映像が網膜上を通過しているだけで、全く別のことを考えているか、何も考えていないか(すなわち睡眠)に二分化する。ある意味では「悟り」に近いかもしれない。その二分化への沸点が非常に低いと思うのだ。

 そう、映画ってほんとうに覚えてない。

 もともと映画は見ない口なので、ある意味では当然なんだろうが、シネフィルな人たちが振りかざす「映画的記憶」みたいな感性は、俺の場合ゼロだ。関心がないから知識がない。その逆もしかり。貧弱な経験はおしなべて鑑賞直後に過去へと押し戻され、忘却が忘却される。いつまでも純白。まっさらのまっさら。

 シネフィルに憧れて、「今年は最低200本は映画見るぞ!」なんて決心した事もあるけれど、それらはすべてダイエットと同じ運命を辿った。そして、そんな非文化的感性しか持っていないことに焦燥や恥辱を感じる年齢は疾うに過ぎた。逆に、一つの作品で二度楽しめるとか、見るたびに全く違う見方ができるとか、映画痴呆症としての――シネフィルには無理な――新しい感性があるのでは? などと妄想しているが、いかがなものだろうか。




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孵化前

『トランスフォーマー2』『ハンコック』『アイアムレジェンド』『アイアンマン』『AVP2』……近所のGEOが「旧作100円セール」をやっているので微妙な新古作品ばかり見ている。昨日は『スターシップ・トゥルーパーズ2』を。これは04年日本公開なので新古とは言い難いか。VFXの大御所フィル・ティペットが監督。初監督作品だそうな。一作目の「バグ対人間」の惑星間戦争的な大掛かりな設定から、『エイリアン』みたいな密室クリチャーものに変更。うーん、低予算を感じさせる。クリチャー表現は一作目ほどの衝撃はなし。ストーリーはちょっと展開が速いというか、消化不良気味のように感じたけど、最後まで見ると一作目同様皮肉が効いておりまずまず。飽きなかったし、『3』も視るとするか。

 本日は午前中に家事をしながら長めの原稿をあげる。そして息抜きと買い物のために午後から赤羽に出る。mp3プレイヤーからはトン・ゼーのメカニカルな反復吃音ボッサ。意想外に前衛性は感じない。ボッサの範疇に収まる。もちろんそれは肯定的な意味だ。ここら辺の説明で言葉が饒舌流暢に流れ出(いず)るとき、それ即ちトロピカーリアを聴き込んだ時、ということになるのだろう。

 買い物を済ませてから駅前の老舗喫茶店に潜り込む。コーヒーを啜りながら村上春樹訳のレイモンド・チャンドラー『ロング・グッバイ』軽装版。ここのところ小説は古川日出男の長編ばかり読んでいたので、すこし軽いものも読みたくなり。とは言え、解説も含めると700頁もあるか……。学生時代読んだ作品だし、本筋ではない細部の描写を味わってみようと思う。

 赤羽を出てからは、真野恵里菜のアルバムではなくシングルを年代順に聴きながら、北赤羽~浮間舟渡を通って志村坂上の自宅へ。一枚のアルバムの中で歌手として孵化の様子を見事に演じた彼女の『Friends』は傑作であるとは思うけれど、今暫くはインディーズ・シングルや「水色想い」「ジャスミンティー」の恥らいを含んだモノクロームな世界を味わいたい気分。

サウンドトラック/ガー4「Going On!」/カエターノ

○古川日出男『サウンドトラック』読了。
 物語への意思に驚嘆。「まばたき一回のあいだに父親は視界から消えていた。」。冒頭の一文から引き込まれる。この小説の執筆には途方もない量の労働が投入されているはずだが、息切れすることなく最後まで物語ることに成功している。この重層的な物語には、安易なカタルシスに回収されてしまう生の謳歌も人生応援歌もスリルもサスペンスも存在しない。親なし子たちによる破壊への意思、滅亡の儀式が淡々と延々と執拗に描写されているだけだ。けれど、その丹念で暴力的な描写はとてもとても切実で誠実な性質のものだと思う。途方もない労働と切実で誠実な作業。つまり、これは読者に勇気を与える滅びの物語なのだ。

○ガーディアンズ4「Going On! 」聞きました。
 エレポップ・テイストやや多めのアイドル・ソング。Bメロにキャンディーズ節っぽいのが入ってるかな? バックトラックはベースがうねって気持ちいいね。しかしトータルでは過不足なさすぎでアイドル・ポップスとしての面白みを感じない。歌詞もフックなし。初聴、二聴で想起したり口ずさむ箇所はなかった。前作「PARTY TIME」が佳作だっただけにやや残念。




○カエターノ・ヴェローゾを聴き直しています。
 やはりとんでもない巨人ですね、この人。時代に即応してスタイルを頻繁に変えつつ質は落とさない、どころか年々あげて来てる。多作なのに駄作がひとつもない。音楽怪物。ある程度時間をかけて聴き込むつもりです。40枚組BOX SET欲しいっ!


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プロフィール

vivahiko

Author:vivahiko
横浜市出身。法政大学文学部哲学科卒業。既婚。一男一女に恵まれる。かつて人文科学系/サブカル系書籍編集者にして、モーヲタ(モーニング娘。ヲタク)でした。ここでは主にハロプロを中心とするアイドル音楽批評を書き連ねてみたいかと。
twitter:http://twitter.com/vivahiko

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